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夏は夜

部屋で一人きりで食べるご飯ほど、寂しいことはない。夫であるケイスケから連絡が来たのは、小一時間ほど前だった。

「もう、つまんないじゃん」

ケイスケからの連絡は、夕飯を食べて帰るからいらないという内容だった。ちょうど買い物をしていたカナは、その連絡内容を確認してから、すぐに細い肩を落とした。かごの中に入れたものを返すのも面倒だし、今から一人分の料理を作るのも面倒。とりあえずかごに入っている食材は明日に回して、自分の分だけの惣菜を確保し、歩いて帰路についた。

「……はぁ」

一人きりのダイニングに響くため息は、思いの外大きく聞こえる。カナは苛ついた気持ちを何かにぶつけるわけでなく、ため息だけでは到底ストレスを解消になるわけがない。
カナ一人だけの部屋は、あまりに静かでカチコチ時計の秒針だけが音を発している。そんな静寂があまりに慣れないものだから、ふと目についたリモコンでテレビの電源をいれてみた。

テレビで流れていた番組は心霊特集だった。8月の盆前のシーズン、心霊特集にはぴったりな時期である。ポチポチとチャンネルをかえてみても、カナが見たいと思う番組はなく、一周まわって結局心霊特集にチャンネルが戻ってきた。

「これでいっか」

一人分のサラダと少しの揚げ物、インスタントの味噌汁だけの寂しい食卓の相手は心霊特集。最近の心霊動画は、昔より手が込んでいるな、という印象を抱いたが、なんせカナの意識はケイスケの不在に苛ついているので、テレビ番組からはまったく恐ろしさを感じることができなかった。

「……つまんない」

カナが小声でつぶやく。その時だった。きっちり締めていたはずの廊下につながるドアから、普段は聞いたこともないギィと軋むような音が鳴る。カナは、ハッとしてドアの方を向いた。ゆっくりとドアが開く様は、まるで今テレビで流れている心霊特集さながらの不気味を漂わせていた。

「……ケイスケ?」

まだ帰ってくる訳がないのはわかっているが、ケイスケの名前を口に出して念のための確認をする。テレビからはキャーという叫び声が聞こえてくるし、ドアは勝手に開くし、カナはなんだか部屋にひとりでいるのが恐ろしくなってきた。

「……」

カナはキョロキョロと周囲を見渡す。なにかがいるわけでもない。お化けや幽霊なんて非科学的な存在を信じないカナは、今の状況を単に偶然が重なっただけだと思いこむことにした。

コツコツ

キッチンにある小窓から何かが叩く音が鳴った。
こんなタイミングで普段聞きもしない音がしたら、誰しも正気を失うだろう。カナ自身も平静を装っていたが、とっさに走り出し一目散に玄関に向かった。途中に置いていた財布が入っているバッグを手に取り、靴は近所を出歩くときに履くサンダルで家を出た。
マンションの大きな玄関ホールから出たころには、カナの息は少し上がっていた、マンションの外から距離を少し開け、カナは自分の部屋のほうを見る。自室の窓からは煌々と光る蛍光灯の明かりがみえた。

「なんなの……ドッキリ?」

あの光る窓からナニカが見えたりしたら、一人で部屋に戻ることなんて恐ろしくて到底できそうにもない。
ここで様子を見ても仕方がないと思い、カナは最寄りの駅まで歩くことにした。繁華街とまではいかない駅前は喫茶店やファミレス、居酒屋が立ち並んでいる。
早足で駅前まで来たからか、心霊現象に動揺したのか、カナの胸の鼓動は普段より早く、汗が滝のようにわいてくる。
目的もなにも考えず、とにかく駅前までぐんぐんと進んできてしまったカナは、駅に着いてからスマートフォンを家に置いてきたことに気づく。スマートフォンを忘れたことに焦り、逆に冷静になって今の自分の状況を思い返してみる。改めて考えてみたら、持ってきたバッグが軽いことにやっと気づく。

「はぇ?うそ?」

そうだ財布は家計簿つけるためにバッグから出してテーブルの上に置いたんだった。カナの絶望的な表情は、なんと表現すれば伝わるだろうか。ガーンという効果音が頭の上に見えるような、とにかく絶望という感情が彼女のありとあらゆるところから見える。


──


時刻はすでに22時を回っていた。
いつもより少し遅い帰りの電車は定刻通り、最寄りの駅に到着した。大勢が家路に向かって歩いている中、ふと駅前のベンチに見覚えのある人影が見えた。アルコールが少し入っているので、もしかしたら見間違いなのではないかと、そのベンチに近づいてみたが、やはりその人影は気のせいではなく紛れもない彼の妻だった。

「カナ?」

ケイスケが声をかけたら、カナはものすごい早さで声の聞こえた方へ顔を向けた。

「……ケイスケ!」
「なんで、こんなところに?」

ケイスケの姿を見て、カナは安堵したのか、今まで見せていたこわばっていた表情が一瞬で和らいできた。カナはベンチからすくっと立ち上がると、勢い良くケイスケの胸に飛び込んだ。

「……は?なに?どうした?」

普段とはまったく違う妻の様子に、とにかくケイスケはこんな状況になった理由を知りたかったのだが、カナは彼を強く抱きしめるだけで、今すぐに話を聞き出せそうもない。

「……大丈夫」

ケイスケは左手に持っていたバッグを足元におろし、カナの頭をてっぺんから形を確認するかのように、ゆっくりと撫で下ろす。

「……あのね、怖かったの」

ケイスケの存在を身を持って確認したカナの表情は、誰から見ても明るくなっていた。ケイスケはカナの右手をひっぱり、少し強引に手を繋いだ。

仲良く手をつなぐふたりの姿は、とても幸せそうな関係にみえる。


──


ケイスケは体質的にアルコールに強いとは言えない。生ビールを1杯飲んだら、顔が赤くなる体質で、酒を断る手段として日頃から言い訳として使っている。

「スマホは?」
「おうち」
「財布は?」
「おうち」
「家の鍵は?」
「わかんない、覚えてない」
「鍵持ってるの?」
「カバンにはない」
「はあ……」

そんな体質なケイスケの、大して飲んでもないアルコールはカナの語る話題で一気に抜けていった。

「だって、怖かったんだもん」

鍵を閉めていない玄関の扉をゆっくりと開けたケイスケの後ろから、カナは恐る恐る覗くように家の中をキョロキョロと確認する。

「な、大丈夫だろ」
「本当にね!ノックされたの!」
「わかったわかった」
「怖かったんだからぁ……」

本当に恐ろしかったのか、家中をキョロキョロと見回すカナ。その姿を眺めながらケイスケはゆっくりとソファに腰を落とす。

「まず家出る前に俺に電話しろよ」
「だって怖かったんだもん」

ぷうっと頬を膨らませながら、カナはソファに座るケイスケの首に手を回し、彼の膝の上に腰を掛けた。
二人少し見つめ合うと、軽く唇を重ねた。

「……へへっ、ケイスケが帰ってきたから、もう大丈夫」

カナは照れくさそうに、少しはにかんだ。そんなカナの表情は可愛く、愛らしい。

コツコツ

二人の世界は、ノック音で一気に現実に引き戻された。

「また!?」

ケイスケのカナは音が聞こえてきた小窓の方に視線をやると、見慣れたシルエットがさっと逃げていくのが確認できた。
あはははとケイスケが高笑いをすると、カナは怪訝そうな顔をする。

「ノック音は、お隣さんがエサやってるノラ猫だろ」
「え、うそ〜!?」
「今シルエット見えたじゃん」
「本当に?なんだぁ……怖がってた私がバカみたい」
「あれ、おバカさんなのカナの専売特許じゃなかった?」
「え!なにそれ失礼!」

ケイスケはニヤニヤしながら、カナの頭を撫でる。そんなケイスケの表情にカナは少し苛ついたのか、頭を撫でる彼の手を遮った。

「とりあえずお仕置きだな」
「は?なんで?」
「鍵を閉め忘れて注意されるの何回目?」
「今日は仕方ないじゃん」
「俺が聞いてるのは、鍵を閉め忘れたの何回目ってことなんだけど」
「いやだからさ」
「だから何?」
「今日は仕方ないから勘弁して」
「わかった、お尻に聞いてみるよ」

ケイスケはひとつ大きなため息をつくと、カナの腰に左手を回し彼の膝の上に腹ばいになるように体勢を整えた。

「今日は大人しく膝に乗れたね」

ケイスケはクスクスと笑いながら、膝に腹ばいになったカナの薄手のワンピースの上から、軽くお尻を叩く。

「いや、全然そんなつもりはなくて」
「あー、お仕置きされたかったのか。なるほど」
「なるほどじゃなくって」

何やら噛み合わない会話が続く。

「大丈夫、明日からの土日は、カナだけを存分に構ってあげるから」
「いや、本当にそんなつもりはなくって」
「へぇ、俺に嘘つくんだ」
「ちょっ、ちょっと」

大きく振り上げたケイスケの掌は、カナのお尻の真ん中に見事に打ち据えられた。

「ったい!」
「はいはい」

カナはケイスケの膝の上から上体を起こそうとするが、腰をきつく押さえつけられているので、足をバタバタさせる程度の反抗しかできずにいた。
そんなカナの姿を眺めていると、つい意地悪くしたくなるのがケイスケの悪癖で、ヒラリとワンピースの裾を翻し、少しセクシーな下着に関心は持たず、カナの膝まで容易におろしてしまう。

「ひゃっ、やだぁ……」

カナは強引に脱がされたことで、羞恥心を抱いたのかとっさに声を上げた。そんな最初に狙われたカナのお尻の中心部には、うっすらと赤い平手の痕が見える。

ケイスケはカナの腰をホールドしている左手に、再び力をこめてきつく抱える。右手をすっと振り上げると、肌同士がぶつかり合う破裂音と共に、カナのお尻にもうひとつ平手の痕ができた。
その打擲はゆっくりと回数を重ねる。
右、左、真ん中とカナのお尻を打つタイミングは順を追っていく。しっかりとしたケイスケの体格から、たびたび打ち下ろされる平手はとても非情だ。その平手が落ちてくるたびに、カナは小さな嬌声をあげ、痛みに耐えている。
パシンパシンとカナのお尻が打たれている音は、時計の秒針より遅く、ゆっくりとしたペースを保っている。
ケイスケの手が降り落ちてくる痛みに耐えながら、カナは心の中で数をかぞえていた。

「28、29、30」

カナがここで終われと願っていた回数の30回で、ケイスケの手が止まった。

「……お、終わり?」

恐る恐る上体を少し起こし、首をひねってケイスケの顔色を覗くカナ。

「今日はアルコール入ってるし、続きは明日にするか」
「ちょっ……えっ」
「俺、シャワー浴びてくるから、終わるまでコーナータイム」

ケイスケは部屋の隅のほうへ人差し指で差し、目線で移動するように促す。しぶしぶと部屋の隅に移動するカナを横目に、ケイスケはひとりバスルームに向かう。
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小夜時雨◆06「少し遠くて近い記憶」

私には4つ違いのお兄ちゃんがいる。
勉強もスポーツもできて、妹の私が言うのはおかしな話かもしれないけど、とってもモテるらしい。正義感も強くリーダーシップをとるタイプで、学校でお兄ちゃんを知らない人はいないくらいの人気があった。
中学にあがったばかりの頃は、あの秋月先輩の妹と注目されて騒がれたこともあった。のかな。
お兄ちゃんを羨ましがる声なんてしょっちゅう聞くけど、妹の私からすると、ただの口うるさいお兄ちゃんなんだよね。「門限は守れ」とか「無駄遣いするな」とか、本当にうるさい。せっかく中学生になったのに自由にさせてほしい。

自由にしたい。遊びたい。

そんな欲求が少しずつ溜まっていき時間だけが過ぎていった。
自分の気づかない間にその欲求は、とても大きな塊になったみたいで、私の中で一種の原動力としてその塊を分散させる方法を考えていた。

「夏休み……!」

そうだ、夏休みじゃん。
私が中学生にあがってから、ママは私とお兄ちゃんを置いてパパの住むアメリカに行くことが増えた。私たちが夏休みの間にも、1週間に渡りパパの元に行くらしい。ママからは一緒に行こうと誘われたけど、私は私で友達と遊ぶ予定があるし、いろいろとやりたいこともあるので断ってしまった。もちろんお兄ちゃんは部活があるから行かないと言うことで、ママは少し寂しそうな表情を見せた。未だにラブラブなパパと会いに行けるのだから「私たちに気を遣わなくてもいいじゃん。行ってきなよ」と笑顔で見送った。
私のその笑顔には理由がある。もちろん……!!


──


「花蓮、門限守れよっていつも言ってるだろ」
ママが不在になった初日のことだった。いつも部活の帰りが遅いから、今日も遅くなると思うじゃん?まさか私より早く帰ってくるとは思わないじゃん?
「ごめん」
「夏休みだからって気を抜きすぎ」
「……」
「朝も何時に起きてんだ?夜更かしばっかりして」
「ごめん」
「母さんもいないんだし、心配かけるようなことするなよ」
「はーい」
お兄ちゃんは少し眉間に皺を寄せながら、くどくどと一生懸命に私に語りかけてくる。結局私は話半分も聞いていたのか、自分でもよくわからない。とりあえず、はいはいと返事していたら、お説教は終わるはず。
「話聞いてるのか?」
「うん、聞いてるよ」
「なら次、約束やぶったらお仕置きな」
「…はぇ?う、うん」
やっばい!お兄ちゃんよ話、適当に聞きすぎたのかな。なんの話かわかんなかった。
まあ、お説教が早く終わったからいいや。


──


「昨日、俺が話したこと忘れた?」
さすがにお説教された次の日は早く帰ってこないだろうと考えて、門限を1時間過ぎた20時に玄関の扉を開けたら、目の前に腕を組んで仁王立ちになってるお兄ちゃんがいた。
「それとも、なんか理由でもあるのか?」
「……特にない」
またお説教かと思うと、ついため息が出てしまう。そんな私のため息と同じタイミングで、お兄ちゃんのため息が漏れたのが聞こえた。
その時だった、お兄ちゃんら私の右手首をぐっと掴んで部屋の中に引き入れようとした。
「ちょっと!靴、脱げないじゃん」
「待っててやるから、早く脱げよ」
あまりに強く腕を引っ張るから、私は半分キレながら言ったのに、お兄ちゃんは冷ややかな表情は少し怖い。靴を脱げと言いながら、私の右手首は掴まれたまま離すつもりはないらしい。
私は左手と足だけでどうにか靴を脱いだけど、玄関に飛ぶように左右の靴はバラバラに転がっていった。
「ちょ、ちょっと痛いって」
思いっきり引っ張られている右手首が痛くて肩が抜けてしまいそうだ。
「俺、思ったんだ。昨日今日でこれだろ。言っても聞かないなら、実力行使したいところだけど、俺にも予定があるし、逐一見張るなんてバカバカしいことするつもりもない」
「はなしてよ!痛いってば」
私がしびれをきらして、右手首をつかむお兄ちゃんの左手をぺしぺし叩く。まったく動じないお兄ちゃんは、私に言い聞かすようにゆっくりと口を動かしている。
「母さんが不在の今、俺が花蓮の保護者だろ」
「お兄ちゃんだってまだ高校生じゃん」
「関係ないね」
「門限やぶったこと、なにも反省してないみたいだし、お仕置きな」
お兄ちゃんはそう言うと、リビングのソファまで私を引きずる。そのままソファに座り、私の手をぐいっと引っ張って、無理やりお兄ちゃんの膝の上に腹ばいとなった。
私は何がなんだかわからずに、思わず周辺をキョロキョロと見回す。
そんな私の驚きを気にすることなく、お兄ちゃんは花柄の白いワンピースの裾をペラっとめくる。
「ちょ、なに?ヘンタイ!!」
「お仕置きだって言ったろ」
「だってパ……パンツみえてるし」
「だからお仕置きだと」
「ま、まさかお尻叩くとか?」
「よくわかってるじゃん。ガキのお仕置きはおしりぺんぺんだって相場が決まってる」
「私もう中学生だよ?子どもじゃないもん」
「だったら約束守れ」
「これからは、そうするから。お仕置きはナシにして」
「やっぱりちゃんと躾とかないと、調子乗るんだよな」
まったく会話が成り立ってなくて泣き出しそうになる。
もう中学生なのに、お兄ちゃんからお尻叩かれるとか無理!
でも腰や背中はがっつりホールドされてて、体格差もあるお兄ちゃんから逃げ出すのは無理だ……。
「20回叩くから」
と、お兄ちゃんの声が耳に入ったときだった。パシッと乾いた音が聞こえた。その音と同時に私のお尻が痛みが走ったのがわかった。
下着の上からなのに、、1発なら耐えられる程度だけど、しなった手で何度も打ち込まれると、じわっと痛みが重なり、少しお尻が腫れているのを感じる。
「やだぁ……痛いよ……ごめんってば」
と、謝っても痛がっても、お兄ちゃんの手は止まらない。
私の喚き声と、皮膚同士がぶつかり合う乾いた音だけが部屋中に響いている。
バッシィんと、ひときわ大きな音が鳴り手が止まった。
「門限は何時?」
「し、7時」
「門限やぶったら、どうなる?」
「……お仕置き?」

これが私の初めてのお仕置きだった。それからの私の生活は一変することとなる。

彼と彼女のパラフィリア◆10「彼と彼女のお買い物」

響が彼氏である甲斐の家に住みはじめて、どれくらいになるだろう。それなりに荷物は持ってきたが、女性の持ち物としてはあまり量は多くはない。彼女が使わせてもらっている部屋は余っているとは言え、多分8畳ほどあるのではないかという広さで、なんといっても大きなクローゼットが魅力だった。持ってきた荷物を収納しただけで3割埋まったかどうかで、荷物がいっぱいになることがなさそうだね、と引っ越した当初は二人でそんな話をしていた。
自分の収入ではないが、少しお金の使える状況になると、つい出てしまう乙女心。
可愛くいたい。綺麗でいたい。
彼女のそんな気持ちが洋服や化粧品、カバンや靴などを買い揃え、気づけばクローゼットがほぼ埋まるほどになっていた。
そんな光景をみた彼は、腕を組み少し悩んだ様子で眉をひそめながら言う。

「さすがにこの買い物はやりすぎ。これから買い物するときは一緒のときだけにしよう」
「えー、別に高くないんだよ?」

彼女が買っている洋服は数千円のものばかりで、自分の収入でほとんどを賄っているから、そこまで文句を言われる筋合いはないのかもしれない。
ただ、彼も彼女もとある特殊な性癖から出会ったので、こういう状況で「お約束」をするのはひとつのアクションのスタートだとお互いに感じている。

「とにかく食料品以外の買い物は、俺と一緒のときだけにしろよ」
「はぁい」

響は不本意そうな表情を見せながら、しぶしぶ了承する。そんな彼女の顔を見て、甲斐はにっこりと優しく微笑みかけた。

「買いたいものがあるなら一旦持ち帰って俺に相談しろよ」
「うん」
「約束な」
「……っ、うん」

「約束」といえことばに、響の瞳は少し陰りを見せたが、すでに笑みを浮かべている甲斐に合わせて微笑み返した。

「響、わかってる?約束だからね」
「あー、うん。大丈夫」

響は指でOKサインを出し、引きつったような作り笑いを見せたので、甲斐は思わずその真偽を確かめるためか、響の顎を人差し指ですくいあげると、ぐっと視線を無理やり合わせた。

「本当に?」

甲斐の行動に対して、気もそぞろになっていた響は慌てて真面目モードにスイッチを切り替え

「ほんと、ほんと」

と軽めだが真剣に答えることとなった。


──

もちろん、そんなやりとりは不毛であって、少しくらいならいいかな。ほんのちょっとだけ買おうかな。
という響の甘さが積み重なり、はじめは気付いてないフリをしていた甲斐だが、約束をしてからちょうど一週間、見て見ぬふりができない程度に、響の行動は杜撰さを見せ始めていた。

「響は本当にお仕置きが好きなんだな」
「へぁ?」

唐突に「お仕置き」という単語が、甲斐の口から出てきたことに、響は後ろめたさと驚きと恥ずかしさで、言葉にならない言葉を吐く。

「いやぁ……ほら……ね」
「あ、大丈夫大丈夫。言い訳なら膝の上で聞くから」

甲斐はそう言いながら、部屋で立ちすくむ響の手を取りソファまで引き連れていく。甲斐はソファに座りながら、響の手首をぐっと強く引っ張ると、あっという間に彼女を膝の上に乗せた。
さっきまで部屋の掃除をしていたので、動きやすいTシャツにスウェット姿の響は、抵抗する間もなくするりと下着まで降ろされお尻が丸出しの状態になる。

「いや、ちょっと、待って」

甲斐の手で腰を抑えつけられているので、うまく上体が起こせないがなんとか甲斐の顔を見ようと振り返って響は言う。
響にはその表情は見えないが、甲斐はひとりニマっと笑うと右手をむき出しのお尻の上にそっと置く。

「待つよ。なに?」
「ふぇ?この状態で?」
「言い訳しなよ、どうぞ」

彼氏の膝の上に乗せられて、お尻が丸出し状態で何を話せというのだろう。響は甲斐の底意地の悪さを改めて実感している。
でも、言い訳できるならしておこうと、とりあえず何か発言しようと必死に頭を回す響。

「……あ……あのぉ……あのね」
「なに?」

ゆっくりと響のお尻を撫でていた手が一気に上にあがると、そのままお尻のど真ん中に平手が打ち込まれる。肌と肌がぶつかりあった大きな破裂音が部屋中に響きわたる。

「痛いっ!」
「そりゃ痛くしてるからな」

ゆっくりとしたペースで2打3打と、左右均等に平手が打ち落とされてくる。そのたびに白く細やかな肌をした響のお尻に、甲斐の掌のあとがくっきりと浮き上がる。

「一週間、寂しかったんだろ」

この約束をしてから、甲斐は慌ただしい一週間を過ごしていた。家に帰るのは寝るときだけ、起きていてもパソコンの前に向かっているか、電話しているかで、まともに響の相手をすることができなかった。
それはそれとして、そんな忙しい中でもモノが増えていっていることは誰でも気づく程度の量で、響が甲斐に構って欲しいのは火を見るより明らかだった。

「ふぇ……さみしかった……」

両足をバタバタつかせ、まるで子どものような言い方で響は本音を吐いた。
パシッパシッと乾いた音が響いているが、いつもより軽く叩いているようで、いつも大騒ぎする響が、今日は大人しくお仕置きを受けている姿を見て、とても愛おしく感じた甲斐だった。
響が買ったモノと言うのも、タオルや食器など日常的に目につくモノばかりで、甲斐に気づいてほしかったので、響は叱られてはいるものの心の奥では充実さを感じていることだろう。

甲斐の叩く手はまだ止まらないようで、軽く50回をこえ響のお尻は全体的に薄紅色に染まっている。

「ごめん……なさいっ……」

涙まじりの響の声はいつにも増して、とても可愛く聞こえる。
そんな声を聞くと、甲斐の振り下ろす手も自ずと強くなっていく。

「約束は、約束だから」
「……さみしかったんだもん」

叩く速度があがっていき、連打と言っても過言ではないほど、打ち込まれる手が速くなってきた。

「いやぁ……痛っ……」

響の泣き声と、お尻を叩く乾いた破裂音だけが部屋中に響いている。

「お仕置きだからね」

甲斐は落ち着いた声で言うと、響はぐずぐず鼻をすすりながら「うん」とだけ答えた。
まだ続く連打に響は泣きじゃくりながら耐えている。響が我慢したので、あっという間に赤くなったお尻に軽くぽんぽんと手を乗せて、甲斐は口を開いた。

「今から買い物いこっか」
「……えっ?」

満面の笑みを見せる甲斐と、涙目で顔も真っ赤になっており、何がなんだかわからない響。
いつも忙しい彼氏のデートのお誘いを蹴るわけがないので、響はコクリと頷く。甲斐は嬉しそうな顔で涙と鼻水でボロボロの彼女に軽くキスをする。

平手とか道具のこと

ブログの更新がスパ小説ばかりなので、たまには自分の話でもしてみようと思います。

ずっと平手派なのですが、最近いろいろと経験があり、さまざまな道具を使われたのでひとつひとつ感想をあげていきます。


【平手】
言うまでもなく、王道ですね。
平手は人それぞれで、全然痛くない人から平手だけで何日も座れなくなる人まで、まさに十人十色。

【ベルト】
表面は平手より痛いけど、重みが少ないぶん引きずらなさそう。赤くするには革ベルトがよさそう。

【靴べら】
木製は重い痛い、プラスチックは軽くてあんまり痛くない。

【コード類】
しなるから肌の表面がすごくピリピリと痛い感じがする。蚯蚓張れになる。

【ボディブラシ】
私の行ったアンケで堂々の1位に輝いた、お道具界の勝者。軽く振り落とすだけで、重みがある分お尻の内側まで痛みが響いてくる感じ。

【布団たたき】
プラスチック製のは重みがそんなになさそうだな、と思いきやしなるし空気抵抗が少ないため、表面をピシッとはじかれるような。昔ながらの布団叩きは挑戦したくないかな。

【ゴムホース】
これはやばい。まじやばい。安いからみんな買って使ってみて。


あと何があったかなぁ……。
今後の創作活動に反映できたらいいなと思うお道具のお話でした。

悪風は夏[ヤマトとカンナ]

「どういうことなのか説明して」
タクミとアイリが宿泊しているコテージを離れ、ヤマトとカンナは二人が宿泊しているコテージまで、ゆっくりと足を進めていた。

「……」

カンナはだんまりを決め込んでいる。アイリが可愛い系だとしたらカンナは綺麗系に分類される。整っている顔と、スレンダーな体型で特に同性の女性に好かれそうなクールさを持っている。
長身のヤマトと並ぶと、まるでどこかのブランドの広告のような、見惚れるくらい目立つカップルとなる。

「お仕置きだって言ってたな、タクミ」
「……」

見惚れるようなカップルの会話は、見た目の雰囲気とはまったく違ったムードで、なかなか重苦しい。

「なあカンナ、俺も結構怒ってんだけど、返事くらいしろよ」
「……ごめん」

カンナとヤマトはとある約束をしていた。
彼らは学生時代からの付き合いで、お互いに長所と短所はそれなりに理解しあっていると思っている。
そんな信頼関係が崩れ始めたのは、一年少し前だろうか。大学を卒業して6年、順調に職場での立場を確立し、キャリアを積むヤマトに、カンナは焦りを感じていた。
大学を卒業するのをきっかけに、二人は入籍をしたのだが、当時はお金もなく結婚式は挙げずに、二人はいわゆる地味婚と言われる、結婚記念の写真と親しい身内でお祝いするだけで済ませていた。
仕事が落ち着いたら結婚式をちゃんと挙げようという約束をして、二人は仕事に励んでいたのだが、順調にキャリアップしていくヤマトと比べて、カンナは職場での頭打ちを感じていた。
そんな日々のストレスを紛らわせるように、カンナは身につけられる洋服や靴、カバンを意味もなく大量に買っていた。
学生のころに比べて収入はそれなりにあると言っても、家の中に大量に積まれた靴の入っている箱や、まだ一度も使ってないカバンなどが、いやでも目に入る生活。ヤマトはそんなカンナを見て痛々しい気持ちになっていた。
「仕事やめていいよ。そんなにつらいなら」
いわゆる買い物依存症になっているカンナに、ヤマトが優しく声をかけたのは旅行直前のことだった。

「そうしよっかなぁ……」
「今、働いてても結局いろんな物を買って、貯金すらままならないんだし、カンナが仕事やめていつものカンナに戻るなら、俺は頑張って支えるよ」

そんなヤマトの言葉に、カンナは懐の深い愛情を感じた。何か仕事と違うところで、自分の心の拠り所を探していたカンナにとって、買い物依存症から抜け出せるチャンスだと思い「うん、そうする」と、ヤマトの好意に甘えることに決めた。

ヤマトとカンナが自分たちのコテージに戻るのと、タイミングを合わせたかのようにゆっくりと日が落ちてきていく。
普段なら綺麗だと、二人並んで眺めているだろう美しい夕焼けの赤は、まったく心に響かない。ただの夕焼けだった。
部屋に戻るなりヤマトはリビングのソファへ、カンナは荷物をまとめておいている寝室へ別れた。

「どーすっかな」

ヤマトは悩んでいた。カンナには怒ってる雰囲気を受け取らせるためにきつい言葉で話していたが、実際のところは心配で仕方ないのだ。
ソファに一人座っていても、考えがまとまらずにただ時間が過ぎていきそうな気がしてならなかった。
素直に相談してくれれば、俺だって話くらいは聞けるし、どんなつらいことがあっても二人で乗り越えたいと思っている。この気持ちはカンナに届いているのだろうか。

「はぁ……」

ヤマトのため息は大きい。
家だとお互いになかなか腹を割って話せないことが多い。
結婚してもう七年も経っているのだから、世間一般ではそんなもんだと言われるだろう。
タクミとアイリの後押しもあって、遅めのハネムーンとなったが、楽しいことだけでこの旅行は終わりそうにもない。ヤマトは家じゃ話せないことをカンナと少し話してみようかと考えた。
ふと時計に目をやると、ディナーの20分前。ヤマトは慌ててカンナのいる寝室へ足を運んだ。
トントンと一応ノックはする。
これが彼らのルール。

「入るぞ」
「……」

さっき大量に持ってた買い物袋は、ベッドの脇に無造作に置かれたままで、カンナはベッドの上にうつ伏せになって寝転がっていた。

「ディナー楽しみにしてたろ、そろそろ出ないと」
「……」

ヤマトの問いかけにはなにも反応がない。
しびれを切らしたヤマトはベッドに寝転がっているカンナを抱き起こした。

「怒ってないから」
「……うそ」
「メシ食ったら二人で話そう。つらいんだろ」
「……」
「だから夕飯はノンアルな」
「……」
「……な?」
「……わかったよ」

語尾を強めたヤマトの喋りからは、意思の強さを感じた。カンナも何か言いたそうな顔をみせたものの、何も言い返さずにに夫の提案を飲んだ。


──

いいムードというのだろうか、少し薄暗い店内をセンスのいいデザインのテーブルと椅子が並んでいる。雰囲気だけでリゾート気分を味わえるようなレストラン。テーブルを4人で囲んでいるが、まるでお通夜のような空気が流れている。

「料理冷めちゃうから、アイリちゃんもカンナも早く食べなよ」

あまり食の進まない女性陣を見かねてヤマトは口を開いた。

「取ろうか?」

アイリに向かってタクマが声をかける。
タクマの優しさなんて聞く気もなく、アイリはまるでフグのように頬を誇張させて膨らませながらぷいっと横を向いた。

「楽しくない」
「夕飯は気持ち切り替えなさいって言っただろ」

タクミは困ったような表情を見せながら、小さめの声でアイリを諌める。そんなタクミの気遣いなんて気にもしていないアイリは、拗ねた声で発言した。

「だって、痛いのに!そんなの無理だよ」

アイリの「痛い」という発言に、なんの話かわからないヤマトとカンナは目を丸くしていた。

「お仕置き足りなかった?」

困った表情のままタクミはアイリに問いかける。

「ち、違うもん」

アイリは膨れた頬ををしぼませ眉間にシワを寄ると、苦虫を噛み潰したような顔を見せた。

「なぁタクミ暴力はよくないんじゃ……」

痛いというアイリの発言に引っ掛かったヤマトは、ついタクミ夫婦の会話に口を挟む。

「暴力っていうか躾?」
「しつけ?」
「そう」

タクミから返ってきた単語は、大人に対して使われることがあまりない言葉だったので、ヤマトは少し怪訝な顔をする。

「お仕置きだよ」
「ちょっ!ストップ!ストップぅ!!」

さっきまでしゅんとしていたアイリは、大きな目を見開いたり閉じたりして突然騒ぎ始めた。タクミは隣に座って騒ぎ立てるアイリの頭をぽんぽんと撫でてなだめている。

「悪い子のときはお尻叩いてるんだ」

タクミがヤマトとカンナにさらりと事実を告げた途端、アイリは恥ずかしさを隠すにもどうにもできず、とりあえず両手で顔を覆った。

「そういうことか」
「そう。お仕置きされてお尻が痛むらしいよ」

タクミはアイリの頭を撫でながらくすりと笑う。ヤマトは納得したのか、うんうんと頷いていたが、カンナはそんな三人をただぼーっと見つめていた。

この後、解散するまでアイリのお仕置き話に花が咲いたが「たっくん嫌い」のインパクトのある一言が飛び出し、ぷんぷんと怒ってしまったので、その話題から離れる結果となった。


──


二人で話す時間は、そう長くは続かなかった。カンナは黙ってるか、話しても会話を濁らせる程度で、ヤマトは腕を組みながら眉間にシワを寄せ悩むしかなかった。

「うちもお仕置きしてみるか」
「……?」

タクミとアイリの話から、もうこの手段しかないだろうとヤマトは提案してみることにした。カンナはそんなヤマトの発言にハッとなったようで、俯向き気味だった顔を上げた。

「意地っ張りで素直じゃないカンナには、おしりぺんぺんが効くんじゃない?」
「うーん」
「うーん、なに?」
「有りだと思う」
「マジか」

カンナの返事はヤマトの予想とは違っていた。単なる脅しを口にしただけなのに、カンナに受け入れられるなど思ってもみなかった。リゾートを感じさせる籐製のソファに腰掛け、向き合ってる二人。

「よし」

その間の静寂を破ったのはヤマトだった。
ソファに座ったまま、太ももを二回叩く。

「おしりぺんぺんといえば、膝の上だろ」
「……それは恥ずかしい」
「早くおいで」

カンナの頬は紅潮し、顔は少しこわばっていた。彼女は恥ずかしそうにゆっくりと立ち上がり、ヤマトのもとへ足を進める。
ヤマトのところまで来たカンナは左手首をつかまれ、そのまま膝の上に腹ばいになる体勢を整えられた。
くるぶしに届きそうなロングのワンピースを一気にめくりあげ、少しセクシーさがある水色の下着をはいた小ぶりのお尻が現れた。

「10回叩くよ」

ヤマトはそう言いカンナの最後の砦となっている下着も膝のあたりまで下ろしてしまった。

「やっ……ちょっと」
「はい、いち」

カンナから出た焦りの表情と戸惑った声は、ヤマトが振り下ろした平手を打ち込む破裂音で一気にかき消された。

「痛いっ!」
「に」

1打目は左だったので、2打目は右。
カンナはぎゅっと目を瞑って、逃げることなく大人しく膝の上で耐えている。
こんなに健気な人だったのかと、自分の見たことのないカンナの姿は新たな発見だと、ヤマトは少し嬉く思った。

「ひとりで抱え込まないで」
「……」
「さん」

ヒュっとしなる腕の音がした瞬間、カンナの左の尻たぶに強烈な平手が打ち込まれる。

「素直に俺に相談して」
「……ぇん」
「よん」

左右平等、的確に平手が振り下ろされる。カンナのお尻は少し赤みを帯びてきた。

「言わなきゃわかんないだろ」
「ごめん」
「夫婦なんだから」
「ごめん」
「無理しろとは言わない」
「うん」

5打、6打、7打とカウント無しで、少しペースも早くなり、ヤマトとカンナの会話はさっきより続くようになっている。

「ちゃんと構うから」
「ごめん」

カンナの白い肌と、ヤマトの平手による赤いあとがコントラストようになっている。

「あと2回」

ヤマトはそういうと、かなり優しくパンパンと2打振り落とした。

「おわり」

そういうとカンナを起こし強く抱きしめた。ヤマトの力にはかなわないが、カンナも負けじとヤマトを抱き返す。

「少しくらい我儘言ってもいいから」
「ごめんね。ずっとひとりで考え込んでた」
「俺たち夫婦なんだから、これからはふたりで考えよう」
「うん」

カンナは自分でなんとかしようと考えていたことで、ヤマトに心配をかけていたのに気付かなかった。ヤマトの優しさに触れたことで、心を閉ざしていた自分にやっと気づいたのだ。

「お尻、痛かった?」
「ちょっとかな」
「今度から悪い子だったときはお仕置きしようか」
「有りかも」

カンナのひっかかっていた心のつかえがとれたとき、代償としてヤマトとの新しい関係がうまれた瞬間であった。
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